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鉄腕アダム 001

マイナス271度の空気のない世界で、僕は青い光を背中で感じる。

「アダム、そろそろだ」

わかっている。

遥か彼方の闇の中の巨大な蝶を太陽の光が照らし出す、距離は一瞬で縮まる。鋼鉄の拳を振りかざし時速20万kmで直進してくる巨大な蝶の腹にたたき込む。何百回とシミュレーションを繰り返している一撃だ、データが変わる度に計算をやり直す。これが本番であるという実感がわかない。

裂けた腹が赤い体液を吹き出し、そして一瞬にして凍り付く。凍り付いた体液は光を反射しきらきらと光る。

浅かった。

すばやく反転し、地球へ直進する蝶の頭に鋼鉄の拳を振りかざす。蝶の首がもげる、意識を切り離された胴体は弱々しく羽ばたきながら成層圏で燃え尽きる。任務完了、蝶の灰は今日はどこに降るんだろう?

人工衛星に赤く染まった右手を振る。そうしたほうが受けがいいと教わった。地球のモニタには僕の手を振る姿が映るだろう。世界中のニュースでも僕の姿は流れるはずだ。今日も地球を救ったと。

目を閉じ、僕は地球へ墜ちる。このまま燃えてしまえばいいのにと思う。僕は人類を破滅から救うことのできる唯一のロボット。僕の名前は……

〜タイトル〜

鉄腕アダム

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